その電話は死者からの電話だと皆は恐れるだろう。

でも、俺にとってその死者からの電話は、

まぎれもない楽園への誘いの電話だった。




非常階段




もう直ぐ昼休みも終わろうって時だった。
屋上から立ち退こうとした俺のポケットのなかで携帯が震えた。


そろそろ始業ベルがなるってのに面倒だ。
俺は相手の番号も確かめずに携帯にでた。














アキ、どこに居るの?













始業を告げるベルが鳴った。




でも俺の耳には入ってこない。

入ってくるのは、あいつの声ばっかりで。










「・・・・・・かず・・・ま?」




そうだよ














誰よりも自分がこの声を間違えるはずがないのに、声の主を確かめてしまった。

帰ってきたのは、何で確かめるんだとでも言った声。
ちょっと膨れっ面になった一馬の顔が思い浮かぶ。




それから、たわいもない話をした。
いろんな事を話した、と思う。

俺の記憶が正しければ、だけどな。




それから、

俺―――で待ってるから


言葉を聞いた瞬間、俺は走り出した。
そうしなきゃいけない気がしたから。

「おい、何処で待ってるって!?おいっっ!!」

気がついたときは遅かった。




俺が降りようとしていた非常階段。
上から数えて20段目。

そこが抜けて俺は足を踏み外した。












視界に俺と同じ黒髪が映ったとき、
俺は諦めて重力に身を任せた。















迎えに来たよ、アキ












「遅ぇよ、バカやろう」







+END+

これ、切な系お題じゃなかったの!?って感じです。
三上さん、めっちゃ幸せじゃないですか!コレ。
だー・・・でも、コレはコレで良いということで。
幸せになってください、三上さん。あの世で(笑




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