「真田一馬です。只今電話に出ることができません。
発信音のあとにお名前とご用件をごうぞ」



留守番電話






「アホらし」

俺は目の前で着信ランプを点滅させている携帯をみて
自分の耳元にある黒色の携帯を枕に放った。



じっと、床に置かれているスカイブルーの携帯。




未だに信じられねえ。

アイツが死んだ、なんて。




選抜練習の帰り、トラックにはねられたそうだ。

丁度その時俺と一馬は待ち合わせをしてて、
俺は既にサッカーを辞めてしまっていたけど、趣味ではやっていたから
一緒にスポーツショップに行く事になってて。

待ち合わせ場所に一馬じゃなくて
青ざめた顔の若菜と郭が来て、驚いたんだよな。

それからはねられたって聞いて、病院にいって、
真っ白な顔して、いろんな医療器具に体を繋げられた一馬をみた。


呼吸器が息で白くなってて、すげえ苦しそうで。

だから俺は言ってしまった。







「もう、いいわ」

と。

「ありがとう、一馬。もういいから、ムリ、すんな」

と。



あの時俺は本当に笑えていただろうか?
笑えていたならいい。




そうして一馬は逝ったけど、
俺はその後も、葬儀の時も、一切泣く事はなかった。
泣けなかった。



泣く前に凄ぇくやしくて、
むかついて。
ココまで俺の心を占めているアイツが許せなくて。

「マジむかつく」
そういいながら、俺は枕に放った携帯を手に持った。
あいつの番号はここ1ヶ月で既に指になじんだ。

携帯を耳にあてて、
そっと目を閉じる。

機械の向こう側のこの世で唯一の愛する人の声に耳を傾ける。




目に見えない電波が俺たちを繋いでいる。




いつか、もうホラーでもいい。

この声で、一緒に行こうと
そういって手を差し伸べてくれたら、



俺は喜んでその手を取るのに。








+END+
てなわけで、真田死んじゃったよネタです。
きっと支えがなくなったら三上さん崩れちゃうんじゃないかなーって
ほら、水野の時みたいに。
そうあって欲しいと思います。
意外とナイーブでガラスみたいな人なんだ!




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