俺じゃだめ?うん駄目


俺らは負け犬ってことか。

勝ち逃げ組み。特に茶髪猫目のほう。

俺はお前が大嫌いだよ。



***ピアノ***




選抜練習ってのは、時々他の学校の校庭を使うときもある。

特にそこの学校との試合があるときなんかだ。



今日もソレだった。
つまり、練習試合って事。
相手は武蔵森高等部。
三上さんがいるチーム。
2年の癖に10番もらっちゃってる。

渋沢さんも藤代も間宮も武蔵森側にいっちゃって、そいつら抜きでやることになった。

結果、3対0。惨敗。


渋沢さんは決して手を抜かなかったし、
藤代も三上さんのサポートで、実際三年前の選抜の時よりも生き生きしてたかもしれない。

んで、練習も終わって帰ろうとしていたところだった。
ピアノの音が聞こえたのは。



ぽーん。



ちらりと窓から教室をみれば、愛しい黒髪が立ったままピアノに指を置いていた。


「三上サン」

「真田か」

こちらを向いてすらくれない。
ちょっと気に入らない。
そんなに好きか。ピアノが。
アイツに関るものが。



「ピアノ好きなの?」
「いや、寧ろキライ。大嫌い」
ここで、こうやって同じ台詞をいうのは何回目だろうか?
俺がココに来て、ピアノに触っている三上サンをみて
ピアノすきなのか、と聞いて
三上さんは「大嫌い」と答える。



「俺の好きな人を獲っていってしまったコイツは大嫌い」
笠井は三上さんじゃなくてピアノを取ってしまったから。
アイツは三上さんに愛されながら、藤代をとり、ピアノをとった。
三上さんを捨て、サッカーを捨てて。

捨てられても尚三上さんは、好きなんだ。
本人は認めないけど。
好きなんだよね。まだ。
あいつのことだ。
だから俺もいつものように、こういうんだ。




「嘘」




返って来るのも同じ言葉のはずだ。



「あぁ、嘘」



俺は壁に寄りかかって、三上さんは窓に寄りかかって。
背中が触れ合ってこんなにも近いのに。
貴方の心はすごく遠い。

ねえ、三上さん。俺はアンタが大好きだよ?

こんなにも好きなのに。
どうしてアンタは答えてくれないの?
俺は貴方の為に全てを捨てられるのに。
アイツみたいに貴方を捨てたりしないのに。

側にいるのに。


なのに、ダメなんですか?




「三上さん、俺じゃ駄目?」





「うん、駄目」


顔は見えない。背中合わせだから。
この思いは届かない。
届いても叶うことはない。


この部屋のピアノの音が消えないかぎり。









+END+
20070407
hikari-suzukane
久しぶりな、笛!です。
真田→三上→笠井の法則(笑
そして笠井は藤代とイチャラブですよ。
かわいそうに。
誰が一番かわいそうかって、本命には振られて、はた迷惑なヤツに好かれて、
本命の彼にも好かれている三上さんですよ。
ゴメン、みかみん。幸せにしてあげるからね。
そのうち。


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