俺は神様なんか信じない。

もしも、もしもいるってんなら、

俺はアンタを殴る。

むしろけり倒す。



神様なんて大嫌いだ。




神様




その日、一馬は三上と約束があるとかっていって、
俺と英士はみごとに置いてきぼりにされた。

しょうがねー、帰りにマックでも寄りながら帰るかー
って思ってた矢先、大きな音がした。

トラックなのかわかんねーけど、
かなりの大型車のブレーキ音と、それから
爆発したみたいな、凄くデカイ耳障りな音。

デバガメ精神も有り余って見に行って見たんだ。
そしたら・・・・。




一馬が血だらけで倒れてた。




混乱する俺をよそに、英士が救急車呼んでくれて、
コーチとか椎名とか他のメンバーも出てきて、
それから一馬とコーチが救急車に乗って、
俺らも乗ろうとしてたとき
一馬の口から一言声がもれた。





「アキ・・・」





「!!コーチ!一馬頼みます!俺後から病院いきます!」
俺はそういって救急車を飛び降りた。
病院にいってもガキの俺は何もする事がないし、
出来る事がない。
だから、俺に出来る事をやってあげたいと思った。

大切な親友のために。

隣でそれを聞いてた英士も同じことを思ってたらしくて
俺らはそのまま走りだした。
背中で救急車のサイレンの音を聞きながら。




アキっていってた。
一馬がそうやって呼ぶのは唯一人、三上亮だけだ。

あいたいんだよな?一馬。

あいたいんだよな!

今、俺が、俺たちが連れてってやるから!

それが俺たちに出来るきっと最善の事。

「結人、待ち合わせ場所しってる?」

「わかんねえ!でも、駅前の新しいスポーツ店に行くって散々いってた!」

「じゃあ、三上は自宅からだから、待ち合わせは駅近くか・・・」

「三上のことだから、面倒くせえからって直でスポーツ店だろ!」

「だね!急ぐよ!」

「もちっ!」

足だけは緩めずに、人ごみの中を走っていく。
時々人ごみで英士の姿とかみえなくなったけど、近くにいるってのは分かってたから。


三上は、待ち合わせ場所で、メガネをかけて本を読みながら待ってた。
「三上っ!」
叫んだ相手はすげえ驚いてた。


それから、適当に一馬の説明をして、
っても俺の説明じゃなにがあったかわかんなかっただろうから、
とりあえずタクシーとっ捕まえて、三上も乗せて病院にいって。
一馬の病室に三上を連れて行った。




そこには、真っ白な顔してベッドに横たわってる一馬がいた。

俺らは入ったとたん足がすくんでしまって、動けなかった。

その中で三上は足を緩めることなく、一馬の横まで歩いていった。








一馬を見て、
必死で指を動かしながら、苦しそうにもだえ苦しむ一馬を見て、
端正な顔をゆがめて、それから諦めたように、一馬に話しかけた。

「もう、いいわ」


「三上っ!」
その台詞はいっちゃいけない台詞で、
俺は病院って事も忘れて大声をだしたけど、三上は俺の声にすら気づいてなかった。

三上は一馬から視線をそらさずに、笑って呟いた。


「ありがとう、一馬」

「もう、いいから、ムリ、すんな」




それから、一馬はその言葉を待ってたみたいに
その言葉だけで楽になったみたいに優しく微笑んで逝った。


一馬の心音が0になって、それから三上はそのままその場に倒れた。

ご臨終です、なんて医者はコーチに行ってたけど、
んなことはとうの昔に分かってた。
トラックに弾かれてたあの時から知ってた。




三上を怒る気にはなれなかった。














神様、俺は貴方様が大嫌いです。

何をしても許される、全知全能の力を持っているのに

あいつ等を不幸にした貴方様なんか大嫌いです。

憎んでも憎んでも憎み足りない。




あいつ等にこんな運命背負わせた責任とれよ。

俺がきちんと蹴り殺してやるからさ。



だから、神様、




一馬みたいにめちゃくちゃ苦しんで

アキに謝りながら死んでしまえよ。




引導は他の誰でもないこの俺、
若菜結人さまが渡してやる。








+END+
結人がすげえ黒いですっ!
なにさま!お前!
って、何様俺様結人さまか。(笑

このあと結人たちは三上のことをアキって呼ぶようになります
まるで、一馬の後釜のように




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