「無色の派閥・・・許せないね」




「あぁ・・・オルドレイクは真剣に狂ってるんだ」



「世界を滅亡させるなんて。僕はこの世界が好きなのに」




「行こう!ソル!!」
「あぁ!トウヤ!!」



○●○振り向かない背中○●○



「・・・・・」
「・・・・どう・・・」
「・・・・・」
「し・・う・・・」
「・・・・・」
「新堂!!」
「うわっ!!は、はいっっ!!」

俺は叫ばれて(多分先生だ)椅子から思いっきり立ち上がった。
椅子は大きな音を立てて後ろに倒れた。

ぴっと背筋を伸ばせば、クラス中から笑い声が聞こえる。

うっわー、やっちまったよ。

「ここの答えは?新堂」
あきらかにボーっとしていた俺に対しての罰のように、
黒板に書かれた問題を、先生はつきたててくる

今は授業中。しかも苦手な数学の時間だ。

黒板に書いてある図もなんのことだかさっぱりだ。

でも・・・あれ?・・・・
えっと、たしか・・・コレって・・・・・


「・・・・・√49?」
自身がなさそうに答えると、先生がびっくりしていた。
あ、俺間違えた?

隣の席の学年主席(でも気さくなヤツなんだ。)がこうアドバイスしてくれる

「ハヤト、単位変換して。√49は?」
答えをしっかり教えてくれないあたりがコイツらしい。
でも、俺の頭は何故かその言葉だけで分かった。

「√49、そっか、7の2乗だから、答えは7か!」
その瞬間、先生を含めクラス中がどっとわいた。

「新堂がこの問題を解けるようになるとはっ・・・」
先生が感動してる。
そしてそのあと語りが入るのかとも思ったんだけど
チャイムが無常にもなって、すぐに授業は終わりとなった。

この後は昼休みだ。最近俺は屋上でアヤと・・・樋口 綾と食べているんだ




「ハヤトくん。ごめんなさい遅れちゃった?」
「うんにゃ、気にしてないって」
「なら良かった。」
二言三言言葉をお互いに交わして、アヤは俺の隣にすわる。
こんな事してるから、校内で恋人疑惑がでるんだけど
俺等はお互いに好きな人がいる。

アヤは恋人同士なんだけどな。

「でも、今日は凄かったですね。あの問題をハヤトくんが解くなんて」
うぅ・・おれはアヤにまで馬鹿にされてたのか・・・
まあ、いままで数学はアヤにみてもらって赤点ギリギリだったからなぁ

「んー、俺もよく分からないんだけどさ、なんか閃いたんだよ」
真実を告げた

「まぁ、ハヤトくんらしいですね」
「なんか、トウヤに教えてもらったきがして・・・」
「そう・・なんですか」

トウヤは未だに戻ってこない
この世界にも、みんなの心にも
俺の心にばかりソレは戻ってくる。

毎日毎日夢のなかで、
すこしずつ、すこしずつ。

もどかしいし、寂しい。

「じゃあ、今日の夢はトウヤくんに勉強を教えてもらってたんですか?」
「あ、違うんだ。それはこの間見たヤツでさ。今日のは・・・」

俺は口を紡いだ。

「遠くにトウヤの背中がみえて、それだけ。
それだけなんだ。顔もおもいだせないし、なんで背中向いてるのかも・・・」

「そう・・ですか。」
アヤはただ俺の言葉を聞いていてくれる。
アドバイスもなにも言わないけれど
俺としてはトウヤという人物を知ってもらい
この夢の話を出来る人がいるのは、とても嬉しかった。


「あら、予鈴ですね。また明日にしましょう?授業におくれちゃいます」
アヤは弁当箱を片付けてすくっとたった。
俺も彼女に続いて屋上をでる。

屋上の扉をくぐるとき、はっとして後ろを振り返った。

そこには誰もいない

いるはずなんてないんだ



悲しい

寂しい

なんで思い出せないんだろう

大切な人の顔を



今どこにいるんだろう

俺は待っていることしかできなくて・・・



あの背中・・・あの夢での振り向かない背中は
とても大きくて、凛凛しくて
でも同時に不安で


だって泣いているのか笑っているのかさえも分からないのだから






+END+
Hikari*Suzukane
ハヤトさんの下にトウヤさんの記憶が舞い戻ってき始めました
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