顔も覚えていない
たぶん大切だった人に・・・

●●ねがい●●●



「せーんぱいっっ」
「うわあっ!」
ハヤトは後ろから背中を叩かれて大きな声を出す
「ったいなー・・・ってカツヤか」
「なんだとはひどいじゃないですか!」
カツヤはハヤトの後輩でなんだかんだといって
自分になついてくれている
カツヤがいると、少しだけ気がまぎれた





「深崎 籐矢」





あの日、あの公園で多分光の中に消えていった人




多分自分の大切な人
多分、自分の恋人だった人





ハヤト自体同性愛を否定する気はなかったので、
好きだったんだなあと確認するだけだった





この間、何が起こったかわからなかったけれど
なぜか
ハヤトの中にだけトウヤの記憶が戻ってきた



何故だか分からないけれど
あの公園で
あの夕日を見てから
あの夕焼けのむこうから
暖かな光が思い出させてくれた





ひどく断片的だけれども。







だからトウヤの事を聞こうとした
自分の中のトウヤが余りにも不確かだったから









しかし、
だれも



誰一人として


「深崎 籐矢」という人間を知る人はいなかった










この世界の中でトウヤはハヤトの中の不確かな心の中でしか
存在していない








彼の事を考えていると

必然的に一人になることが多くなった
そんなとき一緒にいてくれたのがカツヤだった
もちろんカツヤもトウヤの事は知らないから
そのことを聞く事は無かったけれども
「最近ボーっとしてること多いんじゃないっすか?」

「そうかな・・・」
そうっすよ!と意気込んでカツヤは答える
「なんつーか、乙女チックになったというか、
しおらしくなったというか・・・」
「な、なんなんだよ、それはぁっっ!!」
さすがのハヤトも男の子。
乙女などといわれて嬉しいはずが無い
「い、いえっ!綾先輩がそういってたんです!!」
「え・・??樋口が??」



樋口綾。

少し内気で生徒会の副会長を務める女の子
女の子らしい女の子に、乙女と言われた日には
さすがの新堂勇人も泣きそうになります



でも、彼女はすごい観察眼をもっていて、
一度もしゃべっていない子の事も
なんとなく分かってしまうのだ
かくいうハヤトもそうだった。
出会ったときに、

「バスケ部の部長さんですよね。試合でご活躍されてる
後輩からも慕われていて、うらやましいです。」
なんていわれてしまった。
トウヤの事を考えるようになってから
結構しゃべるようになってきていた





「まあ、樋口がいうなら、そうかもしんないな」
そうポツリとつぶやくと
ハヤトはカツヤを置いて先に進む










今はただ
この思いが晴れるのをねがって




そして
君の無事と

俺と君の幸せを・・

それが俺の願い









+++end+++HIkari*Suzukane
ワケわかりません
感じがつかめていただければ嬉しいです
読んで頂きありがとうございます
でも、話自体はこれ続きます



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