●●それぞれの道●●●
それは、突然やってきた
「部活が少し長引いたな・・・」
そういって僕はいつも行く公園への道を急いだ
ここで、大好きな幼馴染の新堂ハヤトと会う約束をしている
僕たちは家は近くても学校は別のところに通っているから
お互いに家と学校の中腹点であるこの公園でいつも待ち合わせをしていた
「ハヤト・・・??」
公園の階段を駆け上がり、最近やっと慣れてきたハヤトの名前を呼ぶ
返事は無い
そのとき僕の携帯が震えた
相手はもちろんハヤトで内容は・・・
今度の試合の事で先生と話すことがあるんだ!
だからごめんちょっと遅れる!
マジごめん
さきに帰っててもいいよ(>△<)
ハヤトらしい、平仮名だらけの句読点無しのメールを見る
ハヤトは帰っていて良いと言うけれど
それで僕が納得するとでも思ってるんだか・・・
先生と話しているときにメールが届かないことを祈りつつ
僕は返信を打った
いいよ、待ってる。
悪いと思うなら早く終わらせて走っておいで?
にしても嫌味なメールだ
こっちに来た時に怒られるかな?
そう思いながら僕は公園のベンチに座る
思えばこうやって素を出して喋る事が出来るのは
たぶんハヤトだけだ
学校の人間と話す気にはなれなかった
ハヤトとの思い出をいちいち思い出しながら、
一人で思い出し笑いをする
幾分か過ぎた時だった
「助けて・・・・」
声が聞こえた。
ハヤトに良く似た声
さびしそうな声
「この世界を・・・・」
聞いているだけで絶えられなかった
なぜか直感で思った。
この助けを求めている声の主は、
ハヤトに良く似ている
と
「どうしたら良いんだ!!??」
瞬間叫んでいた。
「トウヤ!!??」
階段の方からハヤトの声が聞こえたような気がする
あと、携帯やらの荷物もベンチの上だ
でも、もう振り返っても見えない。
僕の身体は、見たことも無い荒野に投げ出されていたから
ごめんハヤト
でも、絶対戻るから
この時僕たちは、それぞれの道を歩き出したんだ
+++END+++
20020305
Hikari*Suzukane